上の項目でも述べたように、歯周病の原因は、歯周病原因菌です。しかしながら歯に加わる不自然な力も歯周病を悪化させる大きな原因の一つです。
歯というものは一本一本、形も違えば役目も異なります。本来、歯は上下対になっておりきちんと噛み合うようになっています。また、物を食べる時に顎を前後左右に動かす場合にも、どの歯が対になっている歯の溝に沿って通るのかが決まっています。決して適当にたまたまぶつかりあった所で噛んでいるのではありません。
ところが、歯が抜けたままになっていたり、治療途中で長い間放置していたり、あるいは歯並びが悪かったりといろいろな要因で噛み合わせが悪くなると、歯は次第に移動して、本来の対になるはず同士の歯がずれてしまいます。
例えば、下の奥歯が一本抜けたと仮定すると、その歯に咬み合う上の奥歯は相手がいなくなったため次第に下のほうへ移動してきます。そうすると上の歯一本だけが下の抜けた歯の隙間にはまり込むかたちになります。
歯というのは上下がカチカチとまっすぐに噛むのではなく、前後左右に下顎を動かして咀嚼します。移動した歯と他の歯が衝突するようになってしまい、皆さんが思っている以上の力がかかってしまいます。この不自然な力とは、歯を横に倒すような力のことです。
私たちが患者様の歯を止むを得ず抜く場合がありますが、この時は決して引っ張って抜くのではありません。歯を横に何度も倒すように力をかけると次第にぐらぐらになって抜けてしまうのです。
このような歯を抜く時と同じような力が噛み合わせただけでかかってしまうのです。また同様に頬づえをついたり、寝る時に横向きで腕を頬の下に入れていると、外力により歯が移動して噛み合わせが悪くなり、同じ様な結果になりますので注意しましょう。
これらの様に不自然な力がかからないように、歯の位置や当り具合を修正する事と、異常な習癖を改善することも歯周病治療の重要な部分になります。
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